2013年7月17日水曜日

「もうそろそろ世界には慣れましたか?」

22歳から23歳になることを意識したとき、読んでいた本は柴崎友香『フルタイムライフ』(河出文庫)だった。
一時期、あまり本を買わないようにしていたのだけれど、文庫の表紙が今日マチ子さんだったこと、文庫の解説が、山崎ナオコーラさんだったこと、柴崎さんの名前を俳句関係の雑誌で見たことがあったこと(確認したら東京マッハメンバーの「ジョジョ句会」でした)など、いろんなことが重なって、買ったことを覚えている。
山崎ナオコーラさんの解説の題名が、「もうそろそろ世界には慣れましたか?」だった。

偶然にも、主人公は新入社員なので、22歳から23歳になるところ。
関西の言葉の感じが、とても心地よかった。
何ヶ月か前に買ったこの本を、誕生日近くになって読み返して、ああ出会ってよかったなあと改めて思ったりしている。


わたしは今、ふしぎな時間を生きている。
高校に入って、大学に入って、大学を卒業したら先生になって、と、ずっと思ってきた。小学生のころからずっと。今、大学を卒業したけれど、先生にはなっていない。まだ、学生をしている。

大学に入ったころは、大学院に進むことや、ひとり暮らしをすることや、お酒って楽しいってことは、全然考えていなかった。23歳は、先生をしていると思っていたから、今とてもふしぎな気分だ。特に、大学の同期の仲良しの子が働きはじめて、社会人になっているのを見てるから、余計にそう思うのかもしれない。
これから、わたしはどうやって暮らしていくんだろう。

大学院の指導教官の先生が、ゼミで、
「今自分が大事にしているものや価値観は、自分ひとりで獲得してきたわけではないはず」
と言っていて、本当にそうだと思った。

勉強するときのテキストの位置や、人は急に変われないんだということや、正義感をふりかざすことは必ずしも正しいとは言えないだろうということ、書くことは楽しいということ、あえてずらして考えてみる余裕をもつこと。
そういうことを、教えてくれたひとのことを思い出す。


ひとり暮らしをするようになって、家でやっていたことをたくさん思い出す。
お米をといだら少し水にひたしておいたほうがおいしくなるとか、
洗濯ものは干すときにたたくと乾いてしわにならないとか、
そういうことぜんぶ、わたしひとりで身につけたものではないんだなあ、と思う。
心からありがとう!とまだ言えるわけではないけれど、そうやって見についてきたということは、自覚していい気がする。
自覚できる、ときが来たのと思う。ひとり暮らしをはじめてよかった。


いろいろな人との関わりの中で、わたしはわたしになってきたのだなあ、と感じている。
23歳のあいだに、どんな人と出会うだろう。
昨日と今日はつながっている。
でも、いつも新しいものを見つけてわくわくしていたい。

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